Gnjoy『THE MONKEY BUISINESS』
「あるよ。タブレット。」

夜の明かりにパッツィーニの低い声が今夜も響く。


パッツィーニは若返りの薬をさばいて生計を立てているヤクの売人だ。
だが、この薬は何の効き目もないことはパッツィーニはもちろん、街の誰もが知っている。
意味有りげな水色の錠剤の正体は・・・、ただのラムネだ。
顧客は、このラムネの不思議な清涼感の虜となり、パッツィーニから騙されたフリをして買い求める。
最近までは、特に禁止薬物を扱っているわけではないパッツィーニに目をつぶっていたポリツィアも、「詐欺罪に相当する」と取り締まりを強化してきた。
さすがのパッツィーニも、このポンコツスピーダーではポリツィアの駆る最新鋭のランドスピーダーには勝てっこない。
ここイターリアでは・・・。

「どうしたものか・・・」
パッツィーニは、思案した。
その結果がこれだ。
パッツィーニの愛機をレース仕様にリペイント。
(あくまで外見だけで、エンジン機体は変わらずのポンコツだ。)
ポッドレース機として再登録後に街から街へと転戦すると見せかけて、その行く先々で短い滞在期間でヤクを売りさばこうという猿知恵だ。

「俺はレーサーさ。」
そう嘘ぶく姿もサマになってきた。
しかしパッツィーニは、今日もレースを棄権し、仕事する。
「あるよ。タブレット。」
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お猿のパッツィーニ なるほど!!( ̄ー ̄)ニヤリ