N.R.I. :『ロンコブ中型M』
『ロンコブ中型MS、地球圏で生産、宇宙世紀0079年の「ケルト=クルツ包囲戦」などに投入されているMSである。

「中型MS」という特殊な分類のモビルスーツであり、現地で製造、改修されたものと思われる。
雪原地帯や砂漠地帯での行動のため、いわゆる“脚”はなく、大型のホバーユニットが装備されており、記録によればMS‐09の1.5倍のホバーユニットにより短時間、短距離であれば飛行(浮遊?)も可能であったとされる。
武装はシールド内臓型のマシンガンが主装備であるが、腕部ユニットを交換することが可能で、両腕をマシンガンに換装したタイプもあったことが記録されている。
各地で実戦投入されていたようだが、「ケルト=クルツ包囲戦」での機体数、戦果についての記録は残っていない。
多くのバリエーションをもつ機体で、も確認されている。』


「・・・君、こんなデタラメなレポートを提出されては困るね」教授が言った。
「デタラメじゃありません。ちゃんとMSアーカイブに記録されていたものです!」僕は急いで反論した。
「何を言っているんだい。だいたい君にはこの前も注意したが、間違ったアーカイブの記録でレポートを作成するものではないよ。君はこの前も、ドムプラスだの量産型Zだの、そんなモビルスーツは存在していないのだよ。まったく何のアーカイブを確認しているのやら・・・」教授の声があきれたように響く。
間違ったアーカイブだって!この“カレッジ”で「宇宙世紀MS史」を専攻してからずっと言われ続けている。
僕の入手したアーカイブが間違っているはずがない。
現にこのMAKOTO.KというMSアーカイブからは、ZZやThe‐Oといった教授が絶賛しているMSが記録されているではないか。
僕の持っているMAKOTO.Kというアーカイブに記録されているドムプラスやこのロンコブ中型MSが、教授の、いや皆の見ている全MS史に記録されていないのかが不思議でたまらないのだ。
僕はとりあえず、“カレッジ”の脳波ビジョンをオフにした。
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