あんじぇら :『淵より来るもの』
―海面に浮上し、故郷に戻るだけの資材は、自分が横たわっていた海底にいくらでも転がっていた。
―長い道のりだけれども、大丈夫。帰った後のことを考えれば孤独にも耐えられる。
―機関の試運転を開始……もはや体の一部となった機関の振動を感じる。振り返れば艦尾に白い波が立つのが見えた、成功だ。

かつてこの惑星に生息していた種は、マン・マシーンと総称されるインターフェイスを用いていたとされる。
ヒト型コンピュータとも言われるそれらは、まさしくマン・マシーン(ヒト型機械)であり、頭脳労働に限らず、重機的役割や家事などの労働、戦闘においてさえ用いられる存在であった。

綾波と呼ばれる該当個体は、メンタルモデルや艦娘と呼ばれる軍艦用のマン・マシーンであり、ソロモン海戦において沈没の後、ダメコンと呼ばれる自己修復機能により修復された姿である。
ヒト型の上半身は、現在の自己の姿を知らないであろう仲間たちへの対話のためと思われる。

艦としての機能は、尾のように見える部分に集約されており、主推進機関を兼ねるヒト型部分は事実上、艦尾に相当する。
ヒト型部分は本来ならありえないほど巨大化しているが、これはダメコンの暴走によるものであり、「妖精」と呼ばれるダメコンの制御機構を搭載していなかったことに起因する。

―私が沈むとき、海上で歌っていた彼らは無事本国に帰れただろうか、帰ったらまず、それを調べよう。

・製作記
ソロモン海の海底から綾波が帰ってくるために海底でダメコンを働かせたら、という妄想をしながら制作しました。
ピットロード 1/700フルハル綾波とコトブキヤ レイキャシール他ジャンクパーツをミキシングしました。
尻尾はアルミ線を芯に石膏粘土で制作、表面をラッカーパテで荒らして塗装してます。
GXダークアイアンをベースに何色か乗せてはシンナーで落としを繰り返し、錆びた質感を狙ってみました。
拙作ではありますが、どうか見てやってください。
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