MAXI :『HIStory 彼の理由』
かつて大戦において空軍のエースパイロットだったブラット。
数多の命と青春を奪っていった長いながい戦争。
それは、多くの兵士たちと同様に彼の中にも未だ暗い影を落とし続けている。
あれから7年。いまだに彼の元には再入隊の誘いが途切れる事がない。
また、飛んでくれ、と。
あの時代を生き残りそして世界は、とっくに新たな時代を進んでいるじゃないか。
今年は生憎の天気だな。
空いっぱいの重たそうな雲が光を拡散させ、どこに目を向けても眩しくて仕方がない。
真っ白な塩の大地を駆けるスピードレース。
今年もまた彼は自ら組み上げたオートバイでスピードの向こう側を追い求める。
ただひたすらに切り抜けるスピードの中で彼の脳裏に浮かぶものは、
祖国の正義のために、自分が生きるために行った、全ての行為に対する苦悩と懺悔の念だけ。
それを振り切るかのようにただ加速する。
加速して、加速して、加速してーー。
その向こう側にある何かに追いつけたと感じられた時、彼は少しだけ、
自分を肯定することができる。
それが、彼が走る理由。いや、飛ばない理由。
一年に一度、今年も少しだけ向こう側へ行けそうだ。
ブラットは目を細め、遥か地平の先のゴールを見つめる。
ただ、今年はいつもと少し違う。
家族になって3年。今年のレースは初めて息子が一緒に行きたいと言ってくれた。
いつもはもっと晴れ渡った高い青い空なんだぜ。
心の中で彼が言う。
来年はもっと背が伸びてるだろうな。
彼の飛ばない理由も、これから変わっていくだろう。





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<製作記>
こんにちは。MAXI(マキシ)と申します。模型コンペ初挑戦で参加させていただきました。
恐らく人生初くらいの勢いで模型をいじりました(笑)参加の際に「楽しみましょう」と言って
下さったJOSEさんをはじめ、ラップ塗装を教えてくれたおずねこさん、Twitterで声をかけて下さった
皆さんとのやりとりがなければ、決して完成しなかったと思います。改めてありがとうございました。
コンセプトですが、僕の場合はストーリーが先にありました。それを表現するのに必要なものを作って
いったかたちになります。バイクは90%以上がTAMIYAのYZR500です。ノリック好きで10年くらい前に購入
してましたが、よもやこんな形になるとは思いませんでした(笑)
塗装もラップ塗装というものを試してみましたが、全体をまとめるカラーリングに相当頭を悩ませました。
フィギュアも初スクラッチ、初肌色塗装とかなりのイバラ道でしたがとりあえず形になってほっとして
おります。
作るのに精一杯、クラウディアユニットの一つも付いてないのに途中で気付いたりと色々未熟でした(^^;)
ヘトヘトですが、とても楽しかったです。飛ばない理由はお祭りでした!
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フィギュアとストーリーも、その世界観に引き込ませてくれて、続きを見たいです。