ただちゃん :『ヒャクシキ』
「“大尉”はまた“偵察”に出られたか…」
点検表にチェックを入れながら年配の整備兵がつぶやく。
「ええ。昨日の“偵察”じゃ3機撃墜したらしいですよ。今日も釣果が出るまで戻らないんじゃないですかね」
若い整備兵は工具を片付けながらそれに答えた。

「どこまでスコアを伸ばすやら。この調子じゃ、あの噂もあながち嘘じゃないかもな」
「何ですか噂って?」
「お前聞いたことない?何でも“大尉”は連合軍の元エースで『紅い彗星』でうちの戦艦をだいぶ食い荒らしたとか何とか」
「何ですかそれ、荒唐無稽な武勇伝ですね。あ、俺も大尉”の噂ひとつ思い出しました」
「どんなヤツだ?話してみろ」
「“大尉”の風貌ってどことなく貴公子然としてるじゃないですか。
そのせいか、“大尉”は何でもどこぞの国の血筋の王子様だとか。
機体も“大尉”がその王家から持ちだした特殊技術で出来てるとか」
「まぁ確かにあの機体は俺たちだって触れねえ。通常の軍機違反のブラックボックスだらけだからな。
魔改造の行き着く先、ソロモンエクスプレスってやつか」
年配の整備兵はそう言いながらカラカラと笑った。
「階級こそ大尉ですが司令部の作戦立案にも大きな発言権を持ってるそうですよ。
そのやっかみからくる冗談なんでしょうね」
「“大尉”は今も機内で作戦立案中じゃないのか。本作戦は威力偵察機による敵部隊の早期発見および、その撃滅であるってな」
「あはは、まさに空飛ぶ司令部ですね」
二人がうわさ話に盛り上がり笑い声も高まっていく最中、轟音とともに“大尉”の『ヒャクシキ』が帰還した。
今日もまた哀れな敵機が“大尉”の“偵察”の餌食にあったようだ。

●機体解説
本家の素露紋超特急に多大な影響を受けて悪乗りで『ヒャクシキ』こと『百式司令部偵察機』を作りました。
バンダイの百万式をベースにして、ノブナガ・ザ・フールやタミヤ1/48百式司偵などをミキシングして作製しました。
百万式の脚を腕にしてザ・フールのバイクを脚にした時点で完成が見えた気がしたのですが、そこからの道が険しかったです…。
遊び心として大日本帝国軍の伝統にのっとり、いささか大きめですが搭乗員軍刀もあしらえてみました。
本家『飛ぶ理由』が持つような史実とフィクションの混沌の面白さが少しでもお伝え出来ていたら幸いです。
小林誠先生、主催のJOSE26さんこのような楽しい企画に参加させていただきありがとうざいます!
また、aspさん早朝にも関わらず撮影に協力していただきありがとうございました!


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魅力的です。
ヤマト艦首でKOGっぽいし、面白いバランスですね。
次はもっと人型に寄せていこうと思いました。