katoya :『防人船』
ここに防人として連れてこられてもう俺で何代目なんだろうか。
お爺ちゃんのそのまたお爺ちゃんもここで防人だったらしい。

この小さい村では防人として皆から頼りにされているが、
タダ飯食いと陰口を言われていることも俺は知っている。
それは仕方が無いことだ。
飲むと決まって昔々に帝から授かったらしい船と服について、延々と自慢話を続ける親父を
見ていると情けない気持ちになってくる。

そんな時、俺は考える。
「俺は何から何を守っているのか?」
この村の誰も当然帝なんか見たことも無いし、都にも行ったことが無い。
この地方を回っている行商に聞いても都に行ったことがある人はいなかったし、
そんな行商もここ何年か来なくなった。

しかしどこからか年に一回は銀貨が送られてくる。
報酬を貰うからには働かなければならない。
だけど何が攻めてくるというのか。
言い伝えでは犬と猿と鳥の化身を従えた鬼畜が攻めてくると言われているが、
そんなものは迷信だろう。
そんな迷信のために俺は一生こんな所で船に乗ってじっとしていなければならないのか。
そんなのはごめんだ。

だから俺は船も家も捨てて、この村を出て都に行く。
もう飛ぶのは終わりだ。

終
●制作解説
今回も流木を使ってみました。今回は大勢乗るような軍艦をイメージして、
乗り場などを多くしてみたり、威嚇などを意図した赤にして軍艦らしさを狙っています。
使用したパーツはF1のエンジンや1/72飛行機、バイク、AFV等々です。
今回も色々と楽しむことができました。ありがとうございました。
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相当限られた持ち時間で作られているそうですが、デザインも練られていて、安心して見られる、世界に没頭できる作品だと思います^^